• 『抹茶の産地』と聞くと、皆さんどこを思い浮かべますか?

    抹茶といえば本場は「宇治」でしょ!最近スイーツでもよく見る「西尾」!「八女抹茶」も知ってる!

    など、皆さんの日常の中でも「○○抹茶」が目に触れる機会はあるのではないでしょうか。

    私も特にこの3府県の抹茶が有名かなと思っています。

    さて皆さん、予測で結構です。果たして全国のどれだけの都道府県で碾茶が栽培されているでしょうか。

    因みに、、、緑茶(煎茶、かぶせ茶、ほうじ茶等を含む。今回抹茶は除外する前提)が栽培されているのは

    全国都道府県42都府県(茶葉商売ベース※茶摘み体験だけ、などは外します)

    ほとんどの県で栽培され、地域独自のお茶を販売していたりもします。

    (※緑茶の定義については こちら『緑茶と抹茶は何が違う?【お茶屋が解説|Teafomation】』から)

    一方で

    日本全国で抹茶の原料である碾茶を栽培しているのは実に15府県しかありません。

    【茶ガイド(H.31/令和元年):https://www.zennoh.or.jp/bu/nousan/tea/dekiru03.htmより】

    (※「宮崎栽培なし」となっていますが、知り合いの方が栽培されているので15府県に加えています。)

    生産量で比較すると緑茶75,784tに対し、碾茶は3,464t(緑茶全体の4.4%)です。

    そんな全国の「抹茶(碾茶)の生産量」ランキングB E S T5は

    1位:京都府(840t)2位:鹿児島県(832t)3位:静岡県(530t)4位:愛知県(494t)5位:三重(392t)です。

    ちなみに文頭でもあった「八女抹茶」は7位(62t)で

    我々の栽培する「出雲抹茶」は9位(21t:抹茶全体の0.6%)です。

    全国の0.6%と少ないですが各産地では様々な農家さんが栽培されているのに対し、

    私たちは1社で栽培製造しているので多少健闘しているのでは、という見方もあるのではないでしょうか。

    ちなみに、、、H.30年の都道府県別の栽培をグラフにすると以下のようになります。

    (※HPが更新されていて、現在はH.30年のデータは見られません)

    それでは全国の全体的な情報が分かったところで以下5産地の特徴について以下、ご説明します。

    ①皆さんご存知「日本一の有名ブランド」『宇治抹茶』

    ②「日本初の地域ブランド」を抹茶で取得『西尾抹茶』

    ③「伝統」なら負けません『八女抹茶』

    ④近年の「拡大勢力No.1」『鹿児島抹茶』

    ⑤「中国四国地方初」の挑戦『出雲抹茶』  の特徴についてお話しします。

    ①皆さんご存知「日本一有名ブランド」『宇治抹茶』:『上品な甘味や香りが特徴的』

    「宇治抹茶」参考U R L:https://ochanokyoto.jp/img_data/broi3_1.pdf?20190402174159(宇治市パンフレット)

    既にご存知の方も多いと思いますが、宇治抹茶の歴史は古く約800年前の鎌倉時代まで遡ります。

    そして、現在の碾茶の栽培方法が確立されたのは室町時代3代将軍 足利義満により宇治七名園と呼ばれる茶園が開かれたことによります。これは菰(真菰)などを被せる「覆下栽培」が始まったことに起源を持ちます。

    「森、祝、宇文字、川下、奥の山、朝日につづく琵琶とこそ知れ」とこの七名園を元にした

    和歌も詠まれるほどで、宇治茶発展の礎となりました。現在は宇治善法にある「奥の山園」のみ現存しています。

    また織田信長や豊臣秀吉の庇護を受け天下一のお茶の産地として名声を獲得。

    江戸時代には「宇治茶師」が登場し行列を作り江戸城へ徳川将軍家御用達の茶を献上する「お茶壺道中」が

    毎年行われるなど、高級茶の地位を確立していきました。

    そんな宇治抹茶ですが、宇治川のほとりで水はけの良い土壌を生かした伝統的な栽培を通し、

    『上品な甘味や香りが特徴的』な抹茶の製造を行っています。

    海外でも宇治抹茶のニーズは高く、生産量が追いつかないため「滋賀県・三重県・奈良県」の3県で栽培された

    碾茶も【京都府内業者が府内で抹茶に加工したもの】【3県でのブレンド比率が全体の49%以下/宇治産51%以上】であれば『宇治抹茶』としての販売が成立されるようになっています。

    (他参照元:https://www.city.uji.kyoto.jp/site/uji-kankou/14231.html

    ②「日本初の地域ブランド」を抹茶で取得『西尾抹茶』:『さっぱりとした味わいと苦味が特徴的』

    参照元URL:https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9218785_po_167chiiki.pdf?contentNo=1&alternativeNo=

    西尾市は、愛知県の中央を北から南へ流れる矢 作川流域の南端にあり、三方をゆるやかな丘陵地に囲まれ、

    残る一方は三河湾を望む、人口約10万人の都市です。

    西尾市で抹茶の栽培が始まったのは今から約700年前の鎌倉時代の中期と言われています。

    今では西尾市の北西部、矢作川左岸一体にある小高い丘陵地「稲荷山」に約100ヘクタールにも及ぶ茶畑が広がっています。

    お茶の産地は静岡茶や宇治茶を始め全国各地にありますが、西尾茶は、全国的にも非常に珍しい「抹茶」に特化した茶処であるのが特徴で、西尾茶の全生産量の99%を抹茶が占めています。

    西尾市で抹茶の生産が盛んになったのは、3つの条件があると言われています。

    1つは、矢作川と矢作古川に囲まれた三角州に 位置する稲荷山一帯が、栽培に適した水はけの良い砂質壌土で

    あったこと。

    2つ目は、名古屋に地理的に近く、経済力を持った市場が近くにあったこと。

    3つ目に、茶臼に適した御影石の一大産地が隣の岡崎にあったこと。

    2009年『西尾の抹茶』は特許庁が認証する地域団体商標、いわゆる「地域ブランド」を抹茶としては初取得しました。

    皆さんご存知の高級アイスクリームも、西尾の抹茶が使われています。

    西尾抹茶の特筆すべき点は、上記のように茶道用ではなく加工用抹茶としての裾野を大きく広げたことです。

    ③「伝統」なら負けません『八女抹茶』:『焙煎で際立たせたコクと旨味が特徴的』

    参照元URL:https://www.hellocal.jp/contents/koto/588/

    八女茶のはじまりは、室町時代に遡ります。僧周瑞が1423年(応永30年)に霊巌寺を建立するとともに、お茶の栽培を伝えたのが由来とされています。

    昔ながらの伝統本玉露の生産量が日本一であり、お茶の平均単価も日本一高いと言われる福岡県の八女茶。

    八女といえばやはり有名なのは「伝統本玉露」。

    毎年行われる「全国茶品評会」においても、農林水産大臣賞を連続16年受賞するなど、偉業を達成しています。

    そして、この本玉露の栽培方法をうまく活かした点が、八女抹茶に多大な影響を与えています。

    八女のお茶を語る上で欠かせないのが、九州最大の河川である筑後川と、矢部川です。

    八女は、この二つの川に挟まれるように位置しているため、昔からの川の氾濫が育んできた肥沃な土壌に加え、川から立ち上る霧が適度に太陽の光を遮り、味が濃厚で旨みと甘みが豊かな茶葉が育ちます。

    栽培法も独特で、茶の芽を減らすことで一枚の葉を大きく育て、品質の良いお茶を作る方法を採用しています。茶葉の収穫は、新茶、二番茶、三番茶……と、年に何度か行われるのが一般的ですが、ほとんどの農家が二番茶で収穫を終えるのも八女ならでは。そうすることで茶木がしっかりと養分を蓄え、旨みに溢れる良質な茶葉が育ちます。

    この地域に脈々と受け継がれる八女の伝統本玉露の栽培方法が、そのまま抹茶に活かされています。

    玉露の原料となる茶葉は、抹茶の原料の碾茶と同じくこの藁やよしず、寒冷紗といったもので日光を遮り

    茶葉に旨味を残す栽培方法を取ります。

    加工の際に、煎茶を作る方法または、碾茶の加工方法で最終的に玉露か、抹茶に分かれます。

    玉露の栽培を十二分に熟知するための農家さんの絶え間ない努力が、結果八女抹茶の品質に通じています。

    (他参照元:https://fukuoka-yamecha.jp/whats/

    ④近年の「拡大勢力No.1」『鹿児島抹茶』:『環境の恵みを活かした安価で高品質な抹茶』

    参照元URL:http://www.ocha-kagoshima.jp/information/tokucho.html

    鹿児島県は環境的にお茶の栽培にとても適した地域です。

    お茶は亜熱帯植物なため、暖かい地域を好みます。

    皆さんもご存知か分かりませんが「八十八夜」というのは立春から数えて88日目。

    閏年であれば5月1日。例年は5月2日が八十八夜となり、新茶の開始となります。

    しかし、鹿児島で実際摘み取りが始まるのは4月上旬。約1ヶ月も早く開始されます。

    そんな鹿児島県は抹茶の栽培の歴史は浅いですが、近年における生産量は目を見張るものがあります。

    お煎茶の生産量でも間も無く静岡を抜いて全国一位に、抹茶の生産量も京都を抜いて全国一位に

    なる日が近いと茶業界では専ら噂されています。

    そんな一大生産地を支えるのは、なだらか、平坦な土地で栽培されるお茶を機械化による摘み取りを

    行えている点です。

    大型の茶摘み機(常用型摘採機)の導入は全国の栽培面積の31%。

    鹿児島での導入は88%と圧倒的な差を生んでいます。

    また若い茶農家も多く、ここも他の地域と一線を画しているため、今後も永続的な栽培が可能と考えられている所以です。

    さらには広大な土地で、温暖な環境を活かし寒冷地では育たない様々な品種のお茶を栽培し、

    バラエティーに富んだラインナップを揃えることができることも、鹿児島抹茶の近年の好調さを支える要因です。

    ⑤「中国四国地方初」の挑戦『出雲抹茶』:『鮮やかな緑色とまろやかな口当たりが特徴』

    参照元URL:https://intojapanwaraku.com/gourmet/2234/

    最後に私どもが手掛ける出雲抹茶についてご紹介します。

    実は島根県で抹茶が栽培され始めたのは2006年。初めての出荷は2011年とその歴史は浅いです。

    (※2011年に販売開始ですが、他の産地と比較すると古い方です。最近それだけ産地が増えてきています)

    島根県には松平不昧(ふまい)(1751~1818年)という伝説的な大茶人が江戸時代、松江藩を治めていました。

    不昧は、独自の流派(不昧流)を確立するほど茶道に精通しており、その影響は出雲地方の庶民にも茶文化として根付きました。

    当時を象徴するものとして、こんな逸話があります。

    江戸時代後期、茶は贅沢であるという理由から「町人の茶室禁止令」が出されましたが 、自宅に「隠れ茶室」をつくって密かに茶湯を愉しむ者もいました。 その名残で今も「隠れ茶屋」は松江に残っています。

    茶湯文化が綿々と受け継がれるこの地域での、お茶の消費量は多く全国でも有数の消費量です。

    また、お客を自宅に招き入れるときに、お抹茶を呈すのもこの地域独自のものと考えられます。

    お茶だけでなく、城下町であった松江は京都、金沢と共に日本三大菓子処の一つであり、和菓子の消費量は

    何度か全国で1位となっています。

    しかし、この茶文化が根付く地域で抹茶の栽培、製造は行われていませんでした。

    高度な栽培技術や、高額な設備への投資が必要だったためです。

    お茶の栽培においては、親から子へもその知識、技術を伝えるのを躊躇うほど秘密とされています。

    茶の文化と栽培は、似て非なるものであり抹茶の栽培技術を確立することは不可能と考えられていました。

    そのため、島根の茶商(お茶屋)は基本的に抹茶を宇治や八女から仕入れて販売する、ということが通例でした。

    弊社、桃翠園は「茶園から茶の間へ」という理念のもと明治40年に創業し、常に栽培からお客様のお口に入るまで責任を果たすということを心掛け、歩んで参りました。

    島根に初めて優良品種「やぶきた」を持ち込み、栽培を成功させ島根の茶業界の発展に努めた岡國次郎。

    当時の挑戦を、現代でも掲げ茶業の発展、地域の文化への寄与を望む桃翠園は

    2006年の創業100周年の事業として株式会社出雲精茶を立ち上げ、本格的に抹茶の栽培に着手しました。

    43万本の茶の木を1本1本、全て人の手で植えるところからのスタートであったため、2年を要しました。

    また自然環境にも徹底的に拘り、茶園の上を6月はホタルが舞う豊かな自然環境で栽培しています。

    そして2011年に初出荷を果たした際には、正に感無量でした。

    ここ出雲で採れる出雲抹茶はとても鮮やかな緑色ということと、まろやかな口当たりが特徴的です。

    苦味を求められるお客様にはちょっと物足りないかもしれません。

    その理由は、島根県は山陰地方。「山陰=山の陰」とも言われるため、非常に曇りが多い地域のためです。

    (※紫外線が少なく湿度が高いため何度も全国美肌県ランキングで1位を獲得: https://travel.rakuten.co.jp/movement/shimane/201910/

    この曇りが多く、紫外線が少ない、そして適度な湿度がある環境が出雲抹茶の発色の良さとまろやかな口当たりを演出します。

    日光が少ないと、茶は光合成を促すため茶葉の葉緑素の量を増やし緑が濃くなります。

    そして、日光が弱いと苦渋味の成分であるカテキンの生成が抑えられることも、口当たりのまろやかさを

    助長する要因となっています。

    以下の写真は各産地の同価格態の抹茶を同量牛乳に溶かした際の画像です。

    ※扱っている抹茶は弊社が取り寄せている各産地の1部のものです。

     価格帯は原価(出雲抹茶以外は弊社への卸値を基準)としています。

    他参照元:https://www.fujiclean.co.jp/water/backnumber/pdf/190/190_01.pdf

    http://www1.city.matsue.shimane.jp/bunka/matsueshishi/koramubn.data/column65.pdf

    以上、様々な産地のお抹茶の特徴を今回ブログにさせていただきました。

    各地域には『各地域の環境や文化、歴史』を背景に様々な取組みがなされています。

    是非、各産地のお茶をお愉しみ下さい。

    今回、取り上げられてないけど、ここの地域の抹茶の特徴が知りたい!などあれば、ご連絡ください。

    また以下、各産地のお茶について、どこに連絡したら良いかまとめてあるサイトURLを添付しますので

    ご参照ください。

    各産地購入窓口一覧:https://www.zennoh.or.jp/bu/nousan/tea/dekiru02e.htm

    それでは、ありがとうございました。